皆さんこんにちは。大阪・東京・中四国に拠点を置き全国の空調設備のメンテナンス及び工事を請け負っている英和商工株式会社です。
半導体の製造工程で不良品が発生する原因の大半は、製品へ微粒子が付着してしまうことだと言われています。不良品の数を減らすにはクリーンな環境が必要不可欠であり、クリーンルームが環境づくりに重要な役割を果たします。
この記事では、半導体工場に設置するクリーンルームについて解説します。
■クリーンルームの仕組み
クリーンルームでは、クリーンルームパーティションと呼ばれる専用のパーティションを用いて、壁・天井・床材を構成します。取り込んだ外気は、超高性能フィルター(HEPAフィルターやULPAフィルターなど)を介して浄化され、室内へ空気を供給する仕組みです。
HEPAフィルターは、大きさが0.3μm以上ある粒形が99.99%捕獲可能な効率を持っています。空気中の微粒子やゴミがクリーンルーム内に入り込まないよう、HEPAフィルターが捕集します。
クリーンルーム内の清浄度を維持するには、4原則「持ち込まない」「発生させない」「堆積させない」「排除する」を守る事が重要です。そのために室内を陽圧(気圧が高い状態)に保ち、外気を取り込み循環ファンを使って送風しています。
クリーンルームは、空気の流し方によっていくつかの方式があり、取り扱う製品やランニングコストに合わせた方式が導入されます。主な方式は以下の2つです。
・層流(一方向気流)式
天井全面から超高性能フィルターを通した空気を流し入れ、空気循環が一方向になるよう流す方式です。不純物が滞留しにくくなるため、高い清浄度が維持できます。半導体工場では、こちらの方式が採用されているケースが一般的です。
設備の導入や維持にかかるコストが高いほか、クリーンルームの移動や拡張が難しい点などがデメリットであると言われています。
・乱流方式(非一方向流方式)
天井や壁の一部に設置した超高性能フィルターを通して空気を流し入れ、空気を乱流させることでクリーンルーム内の微粒子を希釈し、一定の正常度を保ちます。
コストが抑えられ既存施設にも導入しやすいメリットがある一方、空気の滞留場所が発生するため、垂直一方向流方式よりもルーム内の清浄度は劣ってしまいます。
■半導体工場でクリーンルームが必要な理由
半導体の製造は、前工程と後工程に分かれています。前工程では、シリコンウェハーに半導体が並んだLSI(大規模集積回路)を作ります。後工程では、ウェハーを半導体チップに切り出し、半導体に端子をつけたり樹脂で覆ったりして完成させます。
どちらの工程もクリーンルーム内で行いますが、後工程では前工程ほどの洗浄度は必要とされていません。食品加工や手術室などで求められる清浄度と同等もしくは低いレベルと言われています。
これに対して、前工程ではナノメートル(nm:10億分の1m)レベルでの微細な加工が求められます。半導体の製造において最も重要なのは、不良品を発生させないことですが、製造中に微粒子が製品に付着すると不良品が発生してしまい、製品の品質だけでなく信頼度も低下してしまいます。
分野ごとでクリーンルームの清浄度が異なりますが、半導体工場では最高レベルとなるクラス1から100の清浄度が求められます。そのためには、高性能のクリーンルームの設置が必要なのです。クラスについては、次の項で詳しく解説します。
■クリーン度と「クラス」について
クラスとは、クリーンルーム内の清浄度を表す指標であり、空気中の微粒子の少なさを判断するために使われます。クラス分けには、FED規格(アメリカ連邦規格)とISO規格がありますが、日本ではFED規格が多く使われています。尚、最近はISO規格が増えてきて、ISO規格の方がFED規格のクラス1より厳しい基準に対応しています。
FED規格では、空気1立方フィート(28.3リットル)あたりに、0.5μm以上の粒子がどの程度含まれているかによってクラスが分かれます。つまり、数字が小さいほど粒子(パーティクル)の数も少ないことを表しています。
0.5μm以上の粒子の数が、そのままクラスの名前になるため、分かりやすい表記方法と言えます。クラス1であれば、0.5μm以上の粒子の数は1つであり、クラス100の場合は粒子の数が100であるという意味です。
半導体工場の製造工程における前工程では、クラス1のクリーン度が求められます。この数値は大変厳しいものですが、半導体の品質を守るために遵守しなくてはなりません。要求されるクラスも年々高くなる傾向が見られ、清浄度を常に保つ管理が必要です。また、HEPAフィルターでは難しくULPAフィルターを用いたクリーンルームがほとんどです。
・クリーンルーム内の異物にはどのようなものがあるのか
クリーンルーム内に侵入する異物は、「クリーンルームの仕組み」で解説した4原則を守っても、完全に防ぐことは困難です。特に紛れ込みやすい異物は、繊維くずや金属片であり、半導体の現場では導通に影響を及ぼしてしまいます。
繊維くずは静電気を帯びやすいうえ、軽量で飛び散りやすいため、異物として紛れ込んでしまう素材です。金属片は、床などに落ちると清掃で取り除きやすい素材ですが、半導体製品に付着すると導通に影響するほか微小な傷もついてしまいます。
異物が混入してしまうと、半導体の品質や清浄度に大きく影響します。クリーンルームに適した超高性能フィルターを利用することが重要です。
■まとめ
半導体工場における超高性能フィルターは、空気中に含まれる微粒子や粉塵を除去し、異物混入による不良品の発生率を下げる役割を果たしています。半導体工場で、クリーンルーム内の空気を常にきれいに保ち、製品の汚染を防ぐために、フィルターの定期的なメンテナンスが必要不可欠です。前回のメンテナンスから長期間経過してしまった・適切なメンテナンス方法を教えて欲しいなど、半導体工場のフィルターメンテナンスに関するご相談がございましたら、英和商工株式会社にお気軽にお問い合わせください。
英和商工では、最良の空気清浄環境をお届けできるよう、クリーンルームの設置工事・空調設備に関する保守点検・バリデーション業務・清掃などを手掛けております。高度な清浄環境の整備に欠かせないHEPAフィルターやULPAフィルターなどの豊富なラインナップを取り揃えておりますので、クリーンルームの施工およびフィルターに関するご相談がございましたら、弊社までご一報ください。
また弊社では、工場以外にもオフィスビル・飲食店・商業施設・医療施設などの多様な施設で、空調機器等の設備のメンテナンスや更新工事も施工しております。1969年の創業以来、50年以上にわたって培った経験と技術を活かし、これからも社会貢献を続けてまいります。
弊社の拠点は、首都圏・近畿圏・中四国エリアにございますが、その他のエリアもお気軽にお問い合わせください。現場に最適な設備や保守点検をご提案させていただきます。フィルターの卸販売業務も行っており、多彩なサイズやメーカーを取り揃えております。各種メーカーに対応しておりますので、フィルターに関するお悩みがございましたら、まずはご連絡ください。最適なクリーン環境が維持できるよう、経験豊富な担当者がご案内いたします。